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蛙亀の歩 第十二回 フロッグスサイド 『小さな必殺仕事人』

 いささか荒れ模様となった幻想郷リーグ決勝戦一試合。制したのはフロッグスだ。五回にレミリアのツーベースで二点を先取されるが、七回に突如制球を乱した映姫に代わって登板したルナサから満塁ホームランを含む四安打で六点を奪う。
 この一戦は初戦を白星で飾れただけでなく、相手のセットアッパーを打ち込んだ為相手チーム全体に相当のダメージを与えたことだろう。
 逆転劇の主役は、タートルズから移籍し、主に左の代打として試合に出ているルーミアである。

■代打逆転満塁ホームラン

 通産本塁打数は0本。そんな非力な打者がグランドスラムなど誰が予想していただろうか、いや、予想していなかっただろう。それほど、ルーミアのホームランは意外だったのだ。
 だが、ルーミアは元々タートルズの選手なのでルナサを知っているし、その上研究熱心だ。ルナサがどういう投球スタイルで、どんなボールを投げらのか。それさえわかっていれば、打ち損じない限り凡退することはない。
「ルナサはそんなにスピードのある球は投げられないから、ボールをよく見ていけば何とかなると思ってたら、本当に何とかなっちゃったのだー」
 ルナサは制球力で勝負する投手。故に球速はあまりないので、じっくりボールを見てからでも対応できる。その上ルーミアは狙い球を一つだけに絞り、その他は捨てていた。
「狙っていたのはカーブなのだー。ルナサのカーブはカウントを稼ぐ球だから、私の打席で一球は投げられると思っていたのだー。初球に投げてきたのにはちょっと驚いたけど、迷わずに振り抜けてよかったなー」
 相手バッテリーはカーブを悪手と知らずに漫然と投げ込んでしまった。目の前にフラフラと飛んできた獲物をルーミアは見落とさず喰らい付く。打った瞬間に本塁打だとわかる打球がライトへ飛んでいった。
 これが決勝点となり、代打が中心だったあまり目立っていない選手がチームに白星をもたらした。

■小さな必殺仕事人

 タートルズ時代も主な役割は左の代打要員だったルーミア。だが彼女も雛と同じように出場機会に恵まれず、力も才も発揮できなかった。
 出場機会を求めてフロッグスに移籍したものの、こちらでも外野は射命丸と藍の二人が固定されており、残る一つの枠も打力のある空や強肩のチルノの二人が争っている状態。その上にとりの移籍も重なり、ルーミアは左の代打というポジションを手に入れ、レギュラー争いから遅れをとらざるを得なかった。
 それでもルーミアはそれを自らが未熟だからと受け止め、その上でどうすればいいのかをよく考えている。本日の代打逆転満塁ホームランがその象徴だ。
「スタメンも代打も、やることはただ一つ、結果を残すことなんだと思うのだー。だから私は自分の位置に拘ってないのー。私がやらなくちゃいけないのは、監督から任せられた仕事をしっかりとこなすことなのだー」
 彼女はどんな立場でも自分がやるべき事を見つめ、ただ結果を残すことだけに力を入れている。だから打てなかった時には自己嫌悪に陥る、とルーミアは語る。
「代打で使われるのは、監督やコーチが自分を信用してくれてる証だと思うのー。なのに(代打で)凡退したりしちゃうのは、その信用を裏切ることなのだー。タートルズ時代は裏切ってばかりだったし、こっち(フロッグス)に来てからも全然打ててないしねー。今までの失態がこの満塁ホームランで帳消しにはならないだろうし、これからも一打席一打席に集中して挑むのだー」
 既に犯してしまったミスは取り消せない。ならば、ミスが霞むくらいの活躍をすればいい。その決意を胸に、ルーミアは自らに任せられた『仕事』をこなしてゆく。
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蛙亀の歩 第十二回 タートルズサイド 『変則オーダー』

 タートルズのスターディングオーダーを観て驚かなかったファンはいないだろう。私もそうだ。
 レミリアとフランドールの打順を一つ繰り上げ、四番には右投手にめっぽう強い小町を、そして五番には投手の映姫を起用するというなんとも大胆なオーダーだった。
 それにしても、何故このようなスタメンに決めたのだろうか? 実はこの試合、投手コーチの霊夢が風邪が治りきっていないらしく欠場した。その為監督のアリスがブルペンを、采配は魔理沙でも輝夜でもなく、幽々子が担当したという。
 その為、このようなオーダーが生まれた。一見滅茶苦茶に見えるが、よく考えるととても理に適っている。

■二番レミリア、九番美鈴

 今回のオーダーの特徴の一つが、二番にレミリアを起用した点。普通二番打者には小技を駆使して走者を進めるイメージがあるだろう。だがレミリアがバントや進塁打を打つなど想像できないし、そもそもありえないだろう。
 レミリアを二番に、そしてフランを三番に繰り上げた理由は、二人により多くの打順を与える為。前を打つ打者が少ない分一度に大量点は望めなくなるが、たった一人で一点を奪える紅魔姉妹が上位にいるのは相手にとって脅威となる。
 この打順に注目すべきもう一つの点は、九番に美鈴を置いた事。どちらかといえばチャンスメーカータイプの彼女を九番に置けば、トップにかえってからの打線の繋がりも大いに期待できる。
 それだけではない。美鈴の次には咲夜、吸血鬼姉妹が並ぶ。これはタートルズ打線の象徴、通称『紅打順』の完全形態だ。
 故に、咲夜の負傷退場は残念だ。紅打順は恐ろしさを発揮する前に解体せざるを得なかったのだから。

■深まる八番妖夢の謎

 なぜ幽々子はこのような打順に決めたのだろうか。
「仲の良さそうな人たちを並べて繋がりを重視しただけよ~。あ、あとちょっと面白いように並び替えたりもしたわ。二番レミリア、五番に閻魔様(映姫)とか、誰も見たことも考えたこともないような打順をね~」
 と語る幽々子だが、もう一戦も落とせない状況でそのようなことを試している暇があるのだろうか。この言葉だけでは、ただ自分が面白そうだからやってみた、という自分勝手な印象を抱かざるを得ない。
 もしかしたら、幽々子の狙いは別の位置にあったのかもしれない。私が怪しいと睨んでいるのは八番に入った妖夢だ。スタメンの中で彼女だけ近くに『仲の良い人』が存在せず、しかも九回にはペナントで一塁守備に幽々子がついている場合のみしか守らなかった二塁を守った。
 代打で途中出場した燐を中堅で使いたいのであれば妖夢を下げてにとりを一塁に起用する手があったのに、そうしなかった。やはり幽々子は、妖夢に何かを掴んでほしかったのではないだろうか。
 だが、その点について幽々子に問うてみた所、「そういえばお腹が空いたわね~」とのコメントを頂いた。やはり何か裏に隠しているものがあるらしいが、どうやら私達に話すつもりはないらしい。
 この一戦で、幽々子が問題視していた『何か』が解決している事を願いたい。

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