スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

亀の歩 第六回 『完全で瀟洒な遊撃手』

 残念、そこは私の咲夜さんだ――幻想郷スタジアムへ行った者ならば、必ず一度は耳にしているであろうこの言葉。
 それはタートルズの名ショート、十六夜咲夜へボールが転がった時にかけられる歓声。これが元となり今ではタートルズの全選手にこの掛け声が派生している。
 ご存知の通り、彼女は吸血鬼の住む館、紅魔館のメイド長。吸血鬼姉妹や魔女らの暮らす広大な館の雑用を全て担っているのが彼女だ。その完璧たる仕事ぶりから付けられたあだ名は『完全で瀟洒な従者』
 彼女は全てにおいて完璧たる存在。どんなことでもそつ無くこなし、失敗などありえない。それ故に、春の不調は我々のみならず自身をも驚かせた。

■思わぬハプニング、思わぬアドバイス

 四月。咲夜の打率は二割を切った。
 オープン戦では走攻守に目を見張る活躍をしていた。完璧を表現していたプレースタイルで勝利をアシスト。
 しかしいざ開幕してみれば、いい当たりは出るもののことごとく野手の正面をつく不運な打球が続発。打順が八番に降格したことも。
 出口の見えないトンネル、原因不明の不調。それを救ったのは、同じ紅魔館に住む門番だった。

「美鈴に指摘されましたわ。タイミングが完璧すぎる、と。実際私は常にジャストミートを心掛けていましたわ。
 ですが、それではヒットを打つことが出来ない。ですから微妙にタイミングをずらして打ってみたわ。
 爆発的に、とはいかないけれど、ヒットは打てるようになった。美鈴にアドバイスをもらうなんて、私もまだまだね」

 美鈴を見下している口調で話す咲夜だが、その口元には笑みが浮かんでいた。
 春はまるで何かに憑かれているかのように安打が出なかった彼女。前述の通り、打球は野手の正面をついてばかり。
 しかしその原因は、打つタイミングの計り方だった。流すときは微妙に遅らせ、引っ張るときは微妙に早める。打撃の基本をマスターしすぎた為に起こった不振。
 咲夜のタイミングの取り方は決して間違ってはいない。むしろお手本となるものだ。
 ただあまりにもドンピシャのタイミングで打ってしまう。それゆえに野手の正面をつくライナー性の打球が増加。これでは不振に陥るのも無理は無い。
 指摘を受けてからは、打つタイミングを更に遅らせ、早めた。僅かにそうするだけで、安打は増え、打順も二番に復帰。

 今では打率も三割を越え、本日の試合では決勝打を放った。春の不調だった咲夜の姿は、もうどこにも無い。

■完璧の上の更なる完璧

「私の守備はまだまだ未熟。身体能力はあるとは思っていますけど、技術や勘は他球団の名手には及ばないわ」

 咲夜が引き合いに出した守備はダイビングキャッチのシーン。彼女はセンターに抜けようかという当たりをその守備でいくつも防いだ。
 しかし取ってからの動作が遅い為、内野安打を許してしまうことも多い。
 尤も、遊撃手がダイビングキャッチを強いられる打球は大抵深い当たり。止めただけでも凄いと言えるものなのだが、咲夜の完璧はそれを許さない。

「ある球団のショートは一球ごとに守備位置を変え、ゾーンと形容されています。別のショートはセカンドとの連携で守備範囲を広げています。
 さらには強肩で深い位置からノーステップで送球してアウトに出来るショートもいます。私以上のショートは沢山います。
 だからこそ、私は更に高みを目指していますわ」

 いくら完璧にこなすメイド長といえど、経験の差や実戦勘は歴戦の戦士達に及ばない。
 その及ばない点を身体能力で強引に埋めているのが現状。それでも十分すぎるほどの守備センスを見せているが、まだ彼女は満足できない。

 貪欲に高みを目指しているからこそ、彼女は『完璧』という称号を持っているのだ。

(尚、選手顔写真は兎虎が懲りずに禁句を連呼した為無掲載です。ご了承下さい)

あとがき
構成に悩んだその①
咲夜さんを書くとは早々に決めていたものの、後半が完全に思考ストップ。
一応小坂やアライバを引き合いに出してみたものの、締めが適当。どこのモルダウだ。
スポンサーサイト

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © 寝たいときには寝ちまおう All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。