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亀の歩 第十四回 『活躍を夢見た月兎』

 鈴仙のシーズンは終わった。シーズンで活躍できなかった分をCS第三戦の先制タイムリーで取り返したものの、時既に遅し。試合後選手の入れ替えの為に登録抹消。やはり自身の非力さが最後まで足を引っ張った。鈴仙もこれを自覚し、打撃練習に精力的に取り組んではいたものの、一軍メンバーの能力は常にその上を走っている。とてもではないが、追いつけなかった。

■野心と協力

 もしかしたら、鈴仙はこうなることを予想していたのかもしれない。鈴仙は研究熱心だということは以前書いた通りだが、当初はそれを進んで他人と共有しようとしなかった。むしろそれを自分だけの物にしようとしていた。そうすれば自分だけ効率の良い練習ができる。自分だけが上手くなれば、当然一軍に上がるチャンスも増える。そういった野心が鈴仙の中にあったのかもしれない。それを他人と共有しだしたのは交流戦が始まった頃。当時二軍で燻っていた美鈴や妖夢らにより効率の良い練習方法を教え始めた。指摘するポイントはどれも的確で、教えを受けた選手は皆忽ち上達した。このとき既に、鈴仙は自分の能力の限界を感じていたのではないか? 自分はもうこれ以上の上達は見込めない。ならば他の、成長の見込みがある選手のために尽くそう。皆を鍛える事が、今私が出来るチームへの貢献だ――そう考えていたのかもしれない。

■落胆と恩返し

 監督から二軍落ちを告げられた直後、鈴仙は特に気落ちした様子も無く医務室で働いていた。しかし二軍に落ちて平気な選手などいる訳がない。私達が鈴仙に話を聞こうと永遠亭を訪れた時、出迎えたのはてゐだった。本来こういった役目は鈴仙が行なう。それをせずにてゐがその役目を負っているということは、やはり相当落ち込んでいるらしい。

「鈴仙ちゃんね、帰って来たと思ったら何も言わずに部屋に篭っちゃって・・・いつものようにからかってやろうって思ったんだけど・・・部屋からすすり泣く声が聞こえたら、そんな気も失せちゃって・・・」

 そう話すてゐも本当に辛そうで、これ以上話を聞くことが躊躇われた私は取材を切り上げた。これからどうなったのか、私は知らない。ただその翌日から、竹林ドームにて美鈴のリハビリを手伝う鈴仙の姿があった。

「昨夜は色々考えていた。今まで自分がやっていた事はなんだったんだろうって。一生懸命練習してタイムリーも打てたのに、すぐに落とされるなんてね・・・どうでもよくなった。でも、てゐが励ましてくれてね・・・それで思ったんだ。試合に出られないのなら、出られる選手の手伝いをしようってね」

 この日の鈴仙は吹っ切れた感じだった。登録を抹消されても自分にできる事をする。それが今まで自分を育ててくれたチームへの、最後の恩返しであると信じて。

(尚、選手顔写真は兎虎が空気を読まずに永遠亭への突入を慣行してイナバに返り討ちにあった為無掲載です。ご了承下さい)

あとがき
某チャットの罰ゲームにより書いた回。依頼主はそらみん(大妖精、てゐ、鈴仙担当絵師様)。
試合に出ていない選手を書くのは初めてだったので、暗中模索しながら書いた。想像100%で書くのも楽しいもんだ。
あと、この回にあわせたSSも書いてたけど、出来が酷かったからお蔵入りに。見直すと、すごく文章量少ないな・・・
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