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蛙亀の歩 第十四回 タートルズサイド 『二度目の優勝』

 短いようで永かった幻想郷リーグも、とうとう終わった。最後に笑ったのはタートルズだ。決勝は初戦を落とし、もう後が無い状況から二連勝。ペナントを制した貫禄をフロッグスに見せ付けた。
 一度は抑えられ、一度は打ち崩した天子との三度目の対戦。下位からの五連打で二点を奪い取り、天子をマウンドから引き摺り下ろした。しかし得点はこれだけ。七回に一死一、二塁の好機を作るが、代打の萃香が併殺に倒れて得点ならず。
 だが、タートルズが擁する投手陣にはこれだけで十分だった。メルランから永琳、パチュリー、リリカ、アリス、そして魔理沙という豪華リレーでフロッグス打線に付け入る隙を与えさせない。

■ファイナルスパーク

 勝利を目前とした八回。マウンドに登ったアリスは本調子でないのが誰から見ても明らかだった。先頭の橙は特に警戒すべき打者ではなかったにも関わらず四球で歩かせ次の空にはフェンス直撃のツーベースで窮地を迎えてしまう。
 ここでベンチから魔理沙が出てきた。アリスにアドバイスを送るのかと思いきや、そのままマウンドに残り投球練習を始めた。三日前には全パを相手に85球を投げて完封勝利をした左のエースが、満を持して決勝のグラウンドに姿を現した。
「あのままアイツ(アリス)が投げてたら何点取られたかわかったもんじゃないからな。それに、霊夢が昨日投げちまったから、最後を締めるのは私しかいないだろ?」
 疲れが無い訳ではない。それでも魔理沙はいつものように左腕を全力で、しかし制球にも目一杯気を使って振った。直球を高低に散らして椛、射命丸を、雛には一転して緩いカーブで詰まらせて三人を全員セカンドゴロに打ち取った。
 最終回にはエンジン全開。先頭の藍にセンターへはじき返されたが、続く勇儀、衣玖を連続三振で抑える。二死、ここで打席に立ったのはフロッグスの正捕手でありヘッドコーチの八坂神奈子だった。
「あの時は変化球なんか投げるつもりは無かった。直球だけで勝ちたかったんだ」
 魔理沙は直球とツーシームだけで神奈子に向かい合った。まさに力と力のぶつかり合い。魔理沙のツーシームは160キロを記録した。神奈子も負けじと追い込まれても粘る。最後は魔理沙の渾身のストレートで空振り三振。魔理沙の気迫が、神奈子のそれを僅かに上回った。

■野球を楽しんだタートルズ

 優勝は決して楽な道程ではなかった。あわや予選リーグ敗退かという場面もあった。だがそれでも選手は決して諦めることなく最後までボールに喰らいついた。
 タートルズの選手は、中には死ぬ気で勝利を目指している選手もいたが、殆どが楽しく野球をやっていたように見える。チーム全体が、ペナントで出来なかった『楽しい野球』を目指しているようにも思えた。
「ペナントは優勝が最優先だったから、どうしても試合に出られない選手がいたの。今回はそういった選手を出来るだけ少なくしようとした。結果として優勝できたし、全員をグラウンドに出してあげることが出来た。私自身もちょっと酷いピッチングをしちゃったけど、でも、なかなか楽しい大会だったわ」
 厚い層に阻まれてなかなか出場機会を手にすることが出来なかった選手は沢山いた。だが今回はそういった選手たちに配慮して、全員が試合に出られるようになった。さすがに勝敗を左右する難しい場面での出場は無かったが、試合中ベンチにも入れずに試合を観ているよりはずっといい。
 また、もう一つの試みた点がある。それは采配だ。アリスはチーム内の事情があったにしろ、采配を自分ではなく他の選手に任せることがあった。これにより指揮を執った選手の野球観が試合に色濃く反映され、いつもと違った雰囲気で試合を行なうこともできた。
「何試合か、霊夢がいなくて私がブルペンにいなければならなかった試合があったわ。その時は、自分で指揮を執りたい、っていう選手を募ってやらせてみたの。結果はどうであれ、各々がやりたい野球を出来たようだったしね」
 采配面すらも選手に任せ、楽しむ野球を追及したアリスとタートルズ。その上優勝までしてしまったのだから、最早言う事ナシの大会だったに違いない。
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