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蛙亀の歩 第十四回 フロッグスサイド 『準優勝』

 天子とさとりを温存し、必勝体勢で最終決戦に臨んだフロッグス。先発の天子は三回に突然崩れて二点を失ったが、それでも不安視された中継ぎ陣はしっかり踏ん張り追加点を与えない。あとは打線の援護を待つだけだった。
 だが、鉄壁のタートルズ投手陣に対して、二点のリードは大きすぎた。散発六安打。連打も無く、得点圏に走者を進められたのは一度しかなかった。それさえもモノにすることが出来ず、結局完封負け。手も足も出なかった、と言ってしまえるかもしれない。
 それでも非常に引き締まった試合展開だった。フロッグスも幾度と無くピンチを迎えたが決して点を与えない。これこそ、決勝戦。これこそ、最終決戦に相応しい。

■空砲のオンバシラ

 ホームランを打てば同点、打ち損じれば敗北。責任重大の打席に立った神奈子。マウンドにはタートルズの左のエース、魔理沙がいた。
 二人の対決はまさに力と力のぶつかり合い。魔理沙の直球に神奈子も負けじと喰らいつく。あわやファーストゴロかというファールもあった。
 だが、最後はノビのある149キロの直球に空振り三振。ファンの、そして監督の期待に応えることはできなかった。
「今まで、早苗にもチームにもさんざん迷惑をかけてきた。チャンスで何度も打てなかったし、最後だけはどうしても打ちたかった。でも、駄目だったよ。やっぱり魔理沙はいい投手だ。完敗だよ」
 リーグ開催直後はライナー性の打球を飛ばしてファンの心を掴んだ神奈子だったが、終盤になると打てなくなってしまい、打順を下げたり休場した時もあった。捕手と言うポジション柄、身体に疲労が溜まるのは仕方が無いこと。だが、不調の理由をそれにするには神奈子の責任感が許さなかった。
 自分はフロッグスの正捕手であり、主砲。故に、最後まで四番に座っていたかった思いもあっただろう。だが、これは野球。自分だけの意思を貫いてしまってはチームが負ける。だから神奈子は自分を抑え、四番を勇儀に譲った。チームの勝利を優先する為に。
 そしてその選択が、神奈子と魔理沙の対決を実現させた。結果は神奈子の負けだったが、幻想郷リーグで一番の勝負だった。野球の神様の気まぐれに感謝したい。

■優位故の緩み

 決勝リーグ進出を早々に決め、決勝でも初戦で白星を挙げた。常にタートルズよりも優位な立場にいながら、結局最後に踏ん張りきれず押し切られてしまった。
 やはり急造チーム故に経験の差が勝負を分けたか。いくら野球を知り尽くしている神奈子や経験豊富な射命丸、藍がいたとはいえ、主力選手は殆どが今リーグからの参加者だ。個々の能力は申し分なくとも、土壇場での心構えはタートルズに及ばなかった。
 それでも外の世界のチームを打ち負かし、決勝へと駒を進めたのだ。もしこの先、またペナントレーズが行なわれたとしたら――その時は、どうなるかわからない。
「完敗でした。私としても、決勝の舞台で投げたいという想いもありましたし……でも、今回の大会でいろいろなことを学べました。いつかまた、このチームでタートルズと戦いたいです」
 負けはしたものの、早苗の表情は暗くなく、次への期待を抱かせてくれるような明るいものだった。
 早苗の野球に対する想いはまだまだ萎えていない。どころか、逆にどんどん萌え出ているようにも感じられた。幻想郷リーグはこれで終わってしまったが、早苗の、いやフロッグスの選手達の心に野球が残っている限り、彼女達は必ずタートルズとの再戦を望むだろう。
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