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亀の歩 第十三回 『気配り兎』

 四番フランドールと正二塁手美鈴を欠いたタートルズ。攻守の要がいない状態で苦戦は必須だと思われていたが、それは杞憂だった。
 第二戦は美鈴に代わって二塁を守った妖夢の初ホームランを含む四本の本塁打を放って七得点。投げてはチームの中で最も成長したメディスンが六回を十安打ながら無失点の粘りの好投。その後も磐石の投手リレーで完封勝利。
 今日の第三戦も十五安打七得点。全員が繋いで得た七点で見事日本シリーズの切符を手にした。
 この試合、フランドールの代役としてレフトを守ったのは小町。四打数三安打一打点とチーム一のアベレージヒッターとしての実力を示す。美鈴の代役として二塁手を守ったのは鈴仙・優曇華院・イナバ。シーズン中はこれといった成績を残せていない選手だった。

■期待と背信

 開幕レギュラーを掴んだ鈴仙。巧みな守備や小技を買われての起用だった。しかし課題の打撃が足を引っ張り、打率は常時一割台。塁に出られなくては得意の盗塁も出来ず、6月には二軍落ち。その後再登録されるもその頃は既に美鈴が台頭。一軍半の選手となっていた鈴仙には、居場所がなかった。
 結局今季の成績は打率1割8分6厘。本塁打は打っておらず、打点は7。期待された盗塁も僅か1個と、チームを裏切る結果になってしまった。CS開幕時も一軍にはなれず、鈴仙のシーズンはこれで終わってしまった。そう思われた。
 その矢先、美鈴らの抹消。思わぬ形で巡ってきたチャンス。それをしっかりと掴んだ。初回に藍、小町が連続ヒットで一三塁の好機。ここで打席が回ってきた。

「シーズン中は何度も期待されてたんだけど、私はそれをことごとく裏切り続けてきた。あんなにも期待されていたのにね。正直、不甲斐なかったわ。次機会があったら絶対活躍しようと思ってたけど・・・その時にはもう美鈴がいた。その時に思ったの。もう私の出る幕は無いんだって。
 でも・・・どんな理由にせよ、私は必要とされたの。だから私はその期待に応えたかった。試合に出られない美鈴の為にも・・・ね」

 初球、中田の外に逃げるスライダーを降り抜く。芯で捕らえた打球はショートの頭上を越える先制タイムリーヒット。チャンスで弱い印象を持ち、自チームよりも相手チームに貢献するバッティングをすると言われているイメージを払拭する一打だった。

■チームに尽くす態度

 鈴仙はシーズンの多くを二軍で過ごした。真面目な彼女は一軍にあがることを目標にして一生懸命練習していたことを私は知っている。永琳の助手も務めている為一日中練習は出来ないが、それでも練習量はチームでも多い。
 そんな野球に対するひたむきな姿勢を他の選手が快く思わないわけが無い。鈴仙を見習いよりいっそう練習に精を出した選手もたくさんいる。妖夢も鈴仙に影響を受けた選手の一人だ。
 一軍で活躍している妖夢だが、とても鈴仙を慕っているようだ。きっかけは自身が幽々子と共に二軍に落ちた事。妖夢は幽々子の付き添いとして自ら二軍落ちしたのだが、彼女の成績も二割半ばと低迷していた。
 主を守るための剣がこの程度の成績では――自問し、己の未熟さを許せず潰れかけた妖夢を救ったのは、鈴仙の優しさとアドバイスだ。

「うどんげさんの練習態度はチームの中でも一番ですよ。量では美鈴さんには及びませんけど、誰よりも研究熱心で、積極的にレギュラーの人たちからアドバイスを貰ってましたよ。
 貰ったアドバイスはすぐに自分のモノにしようと練習してるし、習得したプレーは私達にも教えてくれるんです。たまに・・・間違った理解をしてる時もあるけど・・・でも、そういった周りに気を配れるところはうどんげさんの長所だと思いますよ」

 抹消前の妖夢は打ち急ぎ、ボール球でも振ってしまう傾向があった。初級から打っていく積極性は評価できるものの、選球が甘ければ安打も打ちづらい。鈴仙はそこを指摘した。
 それだけではなく妖夢と一緒に選球の練習もしていた。球を選ぶ事は鈴仙にとっても課題であった為、欠点の同じ二人が練習に協力して取り組めばより効率の良い練習が可能になる。次第に二人の選球眼は良くなっていった。そして妖夢は本塁打を、鈴仙はタイムリーを打った。今までの練習の成果が出た瞬間だった。

 自分だけではなく他人にも気を払える鈴仙。チームにも数少ない気配りのできる選手である彼女は、自分の為にも仲間の為にもその身を削っている。

(尚、選手顔写真は兎虎がラリっている為無掲載です。ご了承下さい)

あとがき
鈴仙っ! 俺だっ! 友達になってくれっ!(嫁? 僕にはリリカがいるから(ry
合同誌にも書いてあったけど、熱スタの仕様で一番被害を被った選手だと思う。
小技や盗塁とかできる選手は、個人的に大好き。リアルでいうと関本とか。盗塁はできないけど。

亀の歩 総集編 ペナントレースを振り返って

 打球がライトに上がる。風邪を切り裂きどんどん伸びて、伸びて、伸びて――ポールを直撃。瞬間、球場が大歓声に包まれ、サヨナラホームランを放った小町は多少恥ずかしげに、しかし満面の笑みで生還する。
 途端、選手達が過激に出迎える。全員で小町を囲んでもみくちゃにする。皆満面の笑みを浮かべている。
 ファンが、選手が、監督が。全員が待ち望んでいる優勝の瞬間だった――。

■タートルズの魅力

 タートルズは序盤からAクラスをキープ。快進撃を支えたのは打撃陣だ。射命丸が得意の足技で盗塁や三塁打を次々と決めれば、咲夜はバントや進塁打でチャンスを広げ、吸血鬼姉妹がきっちり返す。仮に二人が倒れても藍や妹紅が返す。この一番から六番のうち、打率が三割を超えるのは四人だ。どこからでも塁に出る事が出来、どこからでも走者を返すことが出来る。
 打線が下位でも気を緩められない。後半二塁手のポジションを獲得した美鈴の勢いや投手を助けようとする二人の捕手。打率自体はそれほど高くないものの、チームへの貢献度は計り知れない。
 さらに、他のチームではレギュラーになってもおかしくない実力を持つ控えもいる。巧打の小町、勝負強い慧音、左殺しの幽々子。チーム全体が相手投手に与える威圧感は恐ろしく、被弾必須の弾幕打線と形容された。

 逆に投手陣は纏まらない。春に映姫が抹消されれば、中継ぎのルナサにエースの霊夢も後を追うように抹消。残る先発陣も安定感を欠き、交流戦が始まる頃には全員防御率が三点台という有様。抑えの紫もランナーを出しては何とか抑える劇場の繰り返し。投壊も時間の問題かと思われた。
 しかし二軍から上がったメディスンの好投のように、好材料もあった。登板機会に恵まれなかったものの、交流戦での試合は二戦負け無し。これに触発されてか他の先発投手の調子も上がりだした。魔理沙は月間MVPを獲得、永琳は準完全試合を達成。ルナサら中継ぎ陣も安定したピッチングを見せ始め、紫は何の変化も無かった。
 夏場にはようやく霊夢も復調。終わってみれば、悲惨な成績で終わったローテ投手はいない。投壊の危機はただの杞憂だったようだ。

 打線の影に隠れがちだが、このチームは守備力も高い。特筆すべきはやはり守備職人、大妖精だ。終盤に護りを固める為にグラウンドに舞い降りればどんな打球でもくるくる回って華麗に受け止める。
 ユーティリティープレーヤー、紅美鈴も忘れてはならない。守備固めの際にもその汎用性を遺憾なく発揮し、本職の外野手どころか投手を除く全てのポジションを守った。

 走、攻、守、投。全てがそろっているタートルズには欠点が無かった。一つを除いては。

■シーズン中に身についたモノ

 当初、私はどう考えてもタートルズが優勝するとは思えなかった。無論選手の身体能力が優れていることも考えて、だ。なぜなら、タートルズにはチームプレイを考える選手がいないからだ。
 野球に限らず、スポーツはチームプレイが重用。自分勝手で自由気ままな妖怪達が主力のチームでは協調性などあるわけが無い。
 事実、前半戦は各々が勝手に野球をしていた。射命丸が暴走を繰り返せば、吸血鬼姉妹は長打を狙って凡退し、霊夢や魔理沙は一人相撲で自滅。
 チームプレイを意識した選手もいないわけではないが、そういったことはチーム全員が考えねば意味が無い。
 それでも勝っていたのは、選手の能力が高かったからだろう。しかし、能力に頼りチームプレイを無視した勝ち方では終盤に息切れし互いに責任を押し付けあってやがては崩壊する。タートルズはこうなっていてもおかしくなかった。
 そんなタートルズを変えたのが、オールスターの休みを利用しての決起集会。これを主催者である魔理沙はこう語った。

「やっぱりやるからには優勝を目指すのは当たり前だろ? でもな、あの時のタートルズには優勝を目標にしてるヤツは少なかった。チームよりも自分の成績を意識してるのは、優勝したいって考えるのとは別だしな。
 だからそんなヤツを集めて宴会をしたんだ。皆の意識を一つにできるし、チームプレイをするきっかけにも出来るし、酒も飲めた。まさに一石三鳥ってことだぜ!」

 多少違う目的が混じっているが、この集会がタートルズの意識を変えたことは間違い無い。その証拠に、後半戦が始まってからは選手から優勝と言う単語を耳にするようになった。メイドも、騒霊も、蓬莱の姫からも。
 それからは早朝練習に参加する選手が増えた。チームプレイを意識し、繋ぐ打撃、走塁をする選手が増えた。監督の意思を汲み取る選手が増えた。
 元々能力の高いチーム。これに基本であるチームプレイが加われば、優勝しないわけがない。

 タートルズの選手達は全員が常任離れした実力の持ち主。しかし彼女達にもまだ知らない事、わからないこともある。この異変は彼女達にそれを学ばせているような・・・これは考えすぎだろうか。
 ただ、彼女達はこれからも、我々を楽しませてくれる。これだけは変わらないだろう。

(尚、選手顔写真は兎虎がいかがわしいアングルの写真を撮りすぎて粛正された為無掲載です。ご了承下さい)

あとがき
某チャットの罰ゲームにより書いた特別編。以来主は安雲映師さん(天子、輝夜担当絵師様)。
やっぱり総集編というだけあって長くなった。悔いはない。
この時期から掲示板の字数制限に頻繁に引っかかるようになった。文章量を減らしたコラムも数知れず・・・

亀の歩 第十二回 『練習が齎した活躍の華』

 クライマックスシリーズセカンドステージ。第一戦はタートルズが4-0で勝利。打線が四回と六回の連打で四点をあげ、投げては先発の幽香が中日打線を0に抑えた。
 タートルズらしい一発は無かった。いや、主軸に元気が無かった。三回の一死満塁から二番咲夜、三番レミリアが揃って凡退。下位打線が作ったチャンスを主軸が潰してしまう、最悪の展開がその象徴と言えよう。
 その主軸が打てない分、打ったのは下位打線。その中でも紅美鈴の尽力が目立った。

■休み無い練習

 以前私は美鈴を『練習の虫』と表現した。これは朝早くから夜遅くまで、それこそ誰も起きていない早朝から練習中の休憩時間、試合中、さらには勤務中でさえ練習している彼女を差す言葉としてはピッタリだと思う。
 ただ、シーズンはあまりこれといった活躍をしていない。出塁率は高いものの、得点圏打率は二割四分三厘。大事な場面で力んでしまう勝負弱さを吐露してしまった。
 それでも終盤戦はほとんどの試合にセカンドとして先発出場。事実上、セカンドのレギュラーとしての地位を手に入れた。
 美鈴は、これに満足しなかった。シーズン終了後、各選手が自由気ままに調整をしている中、美鈴だけがシーズン中と変わらない、いやそれ以上の練習をしていた。
 ランニング、ノック、ティーバッティング・・・他の選手を上回る練習量をこなし、CSに向けて準備をしていた。
 練習の成果はすぐに発揮された。三回にチームの初ヒットを放てば、四回、六回には左中間を破るタイムリー。四打数三安打三打点で、今日の勝利の立役者となった。

■原因不明の登録抹消

 しかし、美鈴は試合後登録を抹消された。ポストシーズンは日程が短い為、一軍登録抹消は事実上の戦力外通告。
 今日の成績では、二軍落ちとなる要素は無い。どころか、これからの試合でスタメンを約束されてもおかしくない成績だ。
 それなのに二軍落ち。タートルズからの二軍落ちの説明は無い。私は理由が怪我と思っている。
 ただ、それは考えづらい。この試合美鈴はフル出場。試合中は特に身体を痛めた様子も無かったためそれ以外の要因だろう。
 もう一点疑問に残る点がある。美鈴と共に四番、フランドールも二軍落ちしたことだ。この日は安打の無かったフランドールだが、これで見切られてしまうにはあまりにも早い。
 二人を二軍落ちさせざるを得ない何かが起きてしまったと考えるのが打倒だろう。

 CSを白星で飾ったタートルズ。しかし攻守の要が抜け、これからの試合に大きなハンデを背負ってしまった。

(尚、選手顔写真は兎虎が以前裁きを受けているため無掲載です。ご了承下さい)

あとがき
めーりんはがんばる娘なんだよっ!
試合がなくとも練習するのはタートルズには少ないと思ふ。美鈴とか妹紅とかしか思い浮かばない。
この回のラストの美咲で泣いたのは僕だけではないだろう。

亀の歩 第十一回 『閻魔の引退』

 10月1日。文々。新聞にて衝撃のニュースが発表された。四季映姫・ヤマザナドゥの引退。私自身目を疑い、記事を読み進める事で納得した。
 死者を裁く職に就いている映姫。もともと閻魔の仕事の休みを利用してチームに参加している。相当無理をしていたのだろう。それでは仕事が溜まってしまうのも仕方が無い。
 映姫の登板数は他のローテ投手より若干少ないものの、抜群の安定感でチームへ優勝に貢献。それ故に惜しまれる引退。我々を盛り上げてくれたあの投球は、もう観れない。

■少ない変化球、優れた制球

 恵まれていない体格には恐ろしいスタミナを秘めており、球速、変化球のキレ、制球、すべてが一級品。唯一の欠点が、持ち球の少なさだ。
 映姫の持ち球は少ない。直球の他には高速スライダーとシュートのみ。これはタートルズの選手では一番少ない。いや、野球界から見ても少ないだろう。これで球界を生き残れるのか。事実、春は不調で二軍落ち。球種が少ないため、投球に幅が無い点がネックとなった。
 しかし、再昇格後は6.00だった防御率が、今では2.67。惜しくも最優秀防御率のタイトルは得られなかったものの、堂々のリーグ二位の成績。さらにチーム内では規定投球回をクリアしている投手ではトップの勝率。四死球も最も少ない28個だ。事実上、タートルズのエースとしても過言ではない。
 この好成績の裏には、スライダーとシュートをより活用したことがある。

「春の不調は、恐らく変化球を生かしきれてなかったのだと思います。ただ打者を抑えるために投げていた。これが原因でしょう。
 ですから私は制球を磨きました。ストライクゾーンの隅を狙い、そこに変化球を投げ込む。横に変化する球ならば、ストライクからボールに、またその逆の軌道も狙い易い。
 そうすることにより、さらに打者への攻め方が増えました。」

 どれほど選球眼の優れている打者と言えど、本当に際どいコースは選び辛い。そこに映姫は目をつけ、磨いた。その結果がこの成績。映姫の着眼点はまさに的を射ていた。

■部下への信頼

 私は最終戦後に映姫へのインタビューを試みた。映姫は試合後すぐに三途の川を渡ってしまう。生者である私は川を渡れないため、映姫に直接話を聞くのは試合後しかない。
 その中で私が小町の話題を出した時、彼女は気になる発言を残した。

「小町は、本当はよく働きます。ただ、少し本人に自覚が無いだけ。自分がどれだけ期待されているのか、そこがわかっていない。だからサボってしまう。ですから私は、小町に頼みました。私の分まで頑張れ、と」

 この時は映姫の真意はわからなかった。今にして思えば、これはある種の引退発言だったのだろう。チームを離れる映姫。それでも地獄の水先案内人、小町は残る。その小町に、映姫は託したのだ。CS、そして日本シリーズに出られない自分の分まで頑張れ、と。

「小町のサボリ癖は地獄でも有名です。でも、本当に働いてほしい時は働いてくれる。そうでもなければ、私はとっくに他の死神を雇ってますよ。

 そういえば、小町は練習をサボっても、試合をサボることは無かった。やはり選手としてグラウンドに立てば、自分が期待されていることを自覚するのだろう。よほど空気の読めない者でなければサボることは無い。
 それでも、小町にサボリ癖があることに変わりは無い。突然球場からいなくなってしまうこともあるかもしれない。どうしてそこまで信頼できるのか。映姫はきっぱりと言い放った。

「私は、小町を信じていますからね」

 出来の悪い部下でも、常に信頼を忘れない映姫。これも閻魔として当然のことなのだろうか。映姫に浮かんだ笑みは、まるでそれ以上の何かを感じさせた。

 これでチームを去る映姫。だが彼女の意思は小町に受け継がれた。小町は映姫の無念を胸に、ポストシーズンに臨む。

(尚、選手顔写真は兎虎がとうとう閻魔殿に裁かれた為無掲載です。ご了承下さい)

あとがき
こまえーきを(ry
適当なことを書き連ねた。こんなに能力が高いのにどうして二軍に落ちたんだえーき様。
まあルナ姉も墜ちるくらいだし、致し方ないか。

亀の歩 第十回 『伏兵が成した大仕事』

 十回裏、小町の放った打球はライトへ上がった。風に押し戻されるが、しかし打球は高々と上がる。ボールを懸命に追うライトの林を嘲笑うかのように、打球はポールを直撃。
 それはサヨナラホームランであり、タートルズの優勝決定ホームラン。代打で途中出場した伏兵の一発。前回の打席は左飛。汚名返上の打席で見事結果を残した。
 レギュラー陣の影に隠れて目立たない彼女だが、ついにその存在を表した。

■チーム一のバットコントロール

 小町の持ち味は強肩とバットコントロール。特にバットコントロールの技術はチーム一。それこそレギュラーを獲得してもおかしくない程に。
 チームでは主に対右の切り札として活躍。前半戦はあまり活躍できなかったものの、後半戦だけでは二本塁打十打点。途中から守備に付く試合もあった。射命丸と比べると多少失策は目立つものの、持ち味の強肩で捕殺を連発。外野の控えとして十分すぎる活躍だ。
 それでも、どんなに結果を残しても、レギュラーには届かなかった。外野には強肩強打のレミリア、豪打のフランドール、そして快速の射命丸がいる。その壁は厚く、誰も割って入れない。サブポジションであるファーストにも妹紅がいる。彼女に残された出番は、代打しかなかった。
「まああたいはそこまでして試合に出たくないからね。べつにレギュラーとかはそこまで気にしてないし。代打とかならまあ、頑張ってもいいかな~、とは思うけどね」
 普通の選手は気にする所を、小町は苦にも思っていない。その真意はわからないが、監督にとっては好材料。レギュラーになれないことを妬み、潰れてしまうことがないからだ。
 また、先発出場しないことで自分のリズムを崩さないと言う利点もある。小町の現時点での打率は3割2分6厘。代打での出場が多い小町のこの成績は、高い代打成功率を表す証拠。途中出場でリズムを作る小町には、代打というポジションは格好のレギュラーだった。

■地獄の水先案内人とその上司

 試合開始前のグラウンド。選手が練習している横で小町が寝ていることがよくある。選手としては信じられない光景ながらも、それが彼女のアイデンティティだとファンからも選手からも認められている。
 しかし、それを許さないのが一人。それが四季映姫・ヤマザナドゥ。小町の上司である彼女はまさに品行方正を形にした様な人物。グラウンドでサボっている小町を見つけては悔悟の棒でぺしぺしと叩いている風景も見慣れたものだ。最早その行為も見慣れた風景となり、ファンもそれを見て楽しんでいるように見える。
「四季様は恐ろしいよ・・・あたいが少しでもサボるとすぐに飛んでくるんだ。球場でも、三途の川でも、どこでもね。そんで、小さな体を精一杯飛ばして叩いてくるんだ。まったく、鬱陶しいったらありゃしないよ。
 けどね。鬱陶しいのは確かだけど、でも・・・なんて言うかね、そんな姿を見てると、ほんの少しだけだけど、やってやろう、って気持ちになるんだ。あ、仕事は別だけど。今日の打席も、四季様があたいに説教してる場面を思い出してね。あんまり目立ちたくは無いんだけど、でもね。四季様の説教を思い出したら・・・ね」
 顔を背け、少し顔を赤らめながら話す小町。鬱陶しいと愚痴りつつも、内心では映姫のことを本当に慕っているようだ。もし、このチームに映姫がいなかったらどうなっていたのだろう。小町はサボリ続けて、チームの為に働くどころか足を引っ張っていたのだろうか。それとも、映姫の説教を恐れて精一杯プレーするのだろうか。

 全員野球で勝ち進むタートルズ。控えながらチームに貢献する小町の、CSでの活躍に期待したい。

(尚、選手顔写真は兎虎が試合に熱中しすぎて写真を撮り忘れやがった為無掲載です。ご了承下さい)

あとがき
僕の中でこまっちゃん株が急上昇した回。
代打がレギュラー。まさに代打の死神様。
後半はこまえーきを書きたかった。でも不完全燃焼orz

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